なぜ、やめたいのにやめられないのか？不倫の依存心理

「このままではいけない」と頭では痛いほどわかっている。
「もう終わりにしなくては」と、毎晩のように決意する。
それなのに、翌朝には彼（彼女）からの連絡を待っている自分がいる…。

その「やめたいのに、やめられない」という苦しみは、決してあなたの意志が弱いからではありません。
それは、あなたの心が「依存」という、抗いがたい状態に陥っているサインなのかもしれません。
この章では、まずその苦しみの正体を、心理学的な側面から紐解いていきましょう。

keyboard_arrow_right 1-1. 「失う恐怖」と「罪悪感」の板挟み

今のあなたは、正反対の方向に引っ張られる、二つの巨大な感情の狭間で身動きが取れなくなっている状態です。

一つは、パートナーや家族に対する裏切りの**「罪悪感」**。このままでは大切なもの全てを失ってしまうかもしれないという、焦りにも似た感情です。これは、あなたを「やめるべきだ」という方向へ強く押し出します。

そしてもう一つが、不倫相手を**「失う恐怖」**です。日々の生活に足りなかった心の隙間を埋めてくれる唯一の存在。その刺激や安らぎを失うことは、自分の一部が消えてしまうかのような、耐え難い恐怖に感じられます。これは、あなたを「続けたい」という方向へ強く引き戻します。

この罪悪感と恐怖の「板挟み」こそが、あなたの思考を停止させ、正しい判断を奪っているのです。

keyboard_arrow_right 1-2. それは愛情？それとも「依存」？危険なサインの見分け方

「彼（彼女）を本当に愛しているから、別れられない」そう思っているかもしれません。
しかし、その感情が純粋な「愛情」なのか、それとも心を蝕む「依存」なのかを、一度冷静に見極める必要があります。
もし、以下のサインに複数当てはまるなら、注意が必要です。

【体験談①②】罪悪感と、未来への不安から別れを決意した話

「やめたい」と思っても、その一歩が踏み出せない…。
そんな苦しいループから抜け出すきっかけは、ふとした瞬間に訪れることがあります。
ここでは、同じように悩みながらも、最終的に「別れ」という決断を下した2人の女性の体験談をご紹介します。

keyboard_arrow_right ケース１：子どもの一言で目が覚めたAさん（34歳）の体験談

夫との関係は、冷え切っていたわけではありませんでした。でも、いつからか「母親」としての私しか見てもらえていないような寂しさがあって…。そんな時、会社の同僚だった彼と関係が始まりました。彼は私を「一人の女性」として見てくれ、その時間は刺激的で、満たされない心が埋まるようでした。

でも、ある日の夕食後、息子が私に言ったんです。「ママ、最近楽しそうだね！僕も嬉しいよ」って。その無邪気な一言に、頭を殴られたような衝撃を受けました。

この子の笑顔を、私は嘘で汚しているんだ…と。

夫への罪悪感はもちろんありましたが、それ以上に、一番大切な存在である息子に対して、嘘をつき続けている自分自身が許せませんでした。
彼との刺激的な時間と、息子と夫と囲む食卓。どちらが私の「本当の幸せ」かなんて、比べるまでもありませんでした。
その日を境に、私は彼との関係を終わらせる決意を固めたのです。

keyboard_arrow_right ケース２：彼との未来が見えず、自分をリセットしたBさん（29歳）の体験談

彼も私も既婚者同士。いわゆる「W不倫」でした。「お互い様だから」と、最初は割り切った関係のつもりでした。でも、会う回数を重ねるうちに、本気で彼を好きになってしまって…。いつしか「いつか一緒になれたら」と、淡い期待を抱くようになっていました。

決定打になったのは、私の誕生日に彼が言った一言です。「来年も、こうしてお祝いさせてね」と。
その言葉に、私は嬉しさよりも先に、背筋が凍るような感覚を覚えました。

「来年も？」…ということは、来年も、再来年も、私たちはこのまま何も変わらないんだ、と。

彼に家庭を壊す気はなく、私は永遠に「2番目」のまま。その現実に、未来への不安で目の前が真っ暗になりました。
このまま彼との不毛な関係を続けて、私は一体何を得られるのだろう。そう考えた時、彼への愛情よりも、自分の人生を無駄にしたくないという気持ちが、初めて上回ったんです。

【体験談③④】職場不倫と、相手の執着から抜け出した話

不倫関係を終わらせるという決断は、ただでさえ辛いものです。
しかし、相手が「毎日顔を合わせる職場の人」であったり、「別れに納得してくれない人」であったりする場合、その困難は計り知れません。
ここでは、特に難しい状況を乗り越えた2人の女性の体験談をご紹介します。

keyboard_arrow_right ケース３：全てを失う前に、転職という決断をしたCさん（32歳）

相手は、同じ部署の直属の上司でした。仕事の相談に乗ってもらううちに、プライベートでも会うようになって…。毎日会えるスリルと、仕事と恋愛が混ざり合う感覚に、最初は酔いしれていました。

でも、関係が深まるにつれて、常に誰かに見られているような恐怖を感じるようになりました。会社にいる間は、息が詰まりそうでした。別れようと思っても、翌日にはまた顔を合わせなければならない。仕事にかこつけて、彼は何度も私に接触してくる…。

「この環境にいる限り、この関係は絶対に終わらない」

そう悟った私は、キャリアを捨てる覚悟で、会社に退職願を出しました。すべてを失う可能性はありましたが、家族と自分の心の平穏を取り戻すには、それしか方法がなかったんです。
彼と物理的に距離をとることで、ようやく関係を断ち切ることができました。失ったものも大きかったですが、あのまま沼に沈み続けるより、ずっと良い決断だったと今では思っています。

keyboard_arrow_right ケース４：別れ話で豹変した彼から、やっと逃げ切ったDさん（38歳）

彼はずっと優しくて、「君の気持ちが一番大事だ」と言ってくれていました。だから、私が「終わりにしたい」と告げた時も、悲しむけれど、きっと分かってくれると信じていたんです。

でも、彼は豹変しました。「俺がいないと、君はダメなんだ」「別れるくらいなら、全部話す」と、懇願と脅しが入り混じったLINEが、昼夜を問わず送られてくるようになりました。家の近くで待ち伏せされた時は、本気で恐怖を感じました。

これが、彼の言っていた「愛情」の正体だったんだ、と。

このままでは危険だと感じた私は、まず唯一事情を知っていた友人に、彼からの連絡をすべて見せ、何かあった時の証人になってもらうよう頼みました。
そして、彼の電話番号もLINEも、すべてブロック。「一切反応しない」と固く心に決め、数ヶ月間、徹底的に彼を無視し続けました。生きた心地がしませんでしたが、一度でも返信したら終わりだと思ったんです。
彼の執着が愛情ではなく、ただの支配欲だと気づけたことが、私が逃げ切れた唯一の理由です。

後悔しない「不倫のやめ方」具体的なステップとQ&A

体験談を通して、別れを決意した女性たちの覚悟に触れてきました。
あなたも「もう終わりにしよう」と心を固めたのであれば、次はその決意を「行動」に移す番です。
心が揺らいでしまわないよう、ここからは後悔しないための具体的なステップと、多くの人が経験する別れた後の辛い時期の乗り越え方を、Q&A形式で解説します。

keyboard_arrow_right 4-1. 連絡を断つ、思い出を捨てる…別れるための行動リスト

一度決めた心を後戻りさせないためには、物理的・環境的に「戻れない状況」を作ることが不可欠です。辛いですが、一つずつ着実に実行しましょう。

keyboard_arrow_right 4-2. よくある質問：別れた後の「辛い時期」の乗り越え方

関係を断ち切った後には、必ずと言っていいほど、寂しさや後悔の念が波のように押し寄せてきます。そんな辛い時期を乗り越えるための心の持ち方を知っておきましょう。

まとめ：辛い恋を終わらせ、新しい自分として再出発するために

ここまで記事を読んでくださったあなたは、今、とても苦しい状況の中で、それでも前を向こうと必死にもがいているのだと思います。
不倫という辛い恋をやめるのは、決して簡単なことではありません。しかし、その決意は、あなたが自分自身の人生を大切に思い始めた、何よりの証拠です。
最後に、あなたが「後悔しない選択」をし、新しい自分として再出発するために、心に留めておいてほしいことをまとめます。

辛い恋に終止符を打つことは、長いトンネルを抜けることに似ています。
トンネルを抜けた先は、最初は眩しくて、少し怖いかもしれません。
しかし、その先には、嘘や罪悪感のない、あなたらしい笑顔で過ごせる、新しい景色が必ず待っています。

あなたが、心から「これで良かった」と思える未来を選べることを、心から応援しています。