あなたは面接官？マッチングアプリで「会話のキャッチボール」が生まれない訳

マッチングした相手とのメッセージ。一生懸命に質問を考えて送っても、返ってくるのは短い答えだけ。
そして訪れる沈黙…。「また自分が質問しなきゃ」と、まるで一人で必死にボールを投げ続けているような感覚に陥っていませんか？
その一方通行のやり取りは、もはや会話のキャッチボールとは呼べません。
この章では、なぜそんな辛い「面接」が始まってしまうのか、その根本的な訳を解説します。

keyboard_arrow_right 1-1. 「質問→回答→沈黙…」自分ばかり頑張る一方通行の会話

あなたが質問し、相手が答える。この繰り返しだけでは、関係は一向に深まりません。
なぜなら、そこには感情の交流がないからです。
相手はただ飛んできたボール（質問）を受け止めている（回答している）だけで、あなたにボールを投げ返そうとはしてくれません。
この状態が続くと、あなたは「自分に興味がないんだ…」と感じ、精神的にどんどん疲弊してしまいます。

keyboard_arrow_right 1-2. 「良い質問」をすれば会話が弾む、という大きな勘違い

多くの人が、「会話が続かないのは、自分の質問がつまらないからだ」と思い込んでいます。
しかし、それは大きな勘違いです。
どれだけクリエイティブで面白い質問を考えたとしても、相手があなたに心を開いていなければ、会話は盛り上がりません。
問題は「質問の質」ではなく、その前段階にある「心の距離」だったのです。

なぜ「質問」だけではダメ？会話が続かない人の残念な共通点

会話を繋げようと、一生懸命に質問を考える。その姿勢はとても素晴らしいことです。
しかし、その「質問」こそが、皮肉にも相手の心を閉ざさせ、会話を終わらせる原因になっているとしたら…？
会話が続かない人に共通しているのは、相手に「楽しさ」ではなく「タスク」を与えてしまっているという点です。
そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。

keyboard_arrow_right 2-1. 質問は相手に「回答する」という労力を与えてしまう

あなたが質問をすると、相手は「えーっと、なんて答えようかな…」と考えなければなりません。
これは、相手にとって「頭を使う」という、れっきとした労力です。
特に仕事で疲れた後などにアプリを開いている相手からすると、楽しいコミュニケーションを求めているのに、考えるべき課題を与えられているように感じてしまうのです。
これでは、返信するのが億劫になるのも当然です。

keyboard_arrow_right 2-2. 連続する質問は、相手を追い詰める「尋問」になる

「趣味は？」「休日は何してるの？」「どこに住んでるの？」…。
たとえ一つ一つは普通の質問でも、連続すると相手はまるで尋問されているかのような圧迫感を覚えます。
自分ばかりが情報開示を求められ、相手のことがわからない状態では、安心感は生まれません。
楽しむどころか、「何かを探られているのでは？」という警戒心に繋がり、心を閉ざしてしまいます。

会話のキャッチボールの鍵は「共感」だった！相手がもっと話したくなる心理

質問ばかりでうまくいかないなら、一体どうすればいいのか？
答えは、驚くほどシンプルです。それは、相手の言葉に対する「リアクション」を変えること。
そして、その最強のリアクションこそが「なるほど！」「わかります！」といった、相手への「共感」なのです。
人は、自分の話にただ答えるのではなく、感情的に反応してくれる相手にこそ、もっと話したいと感じます。

keyboard_arrow_right 3-1. 人は「自分のことを分かってくれる人」に心を開く

考えてみてください。あなたが悩みを相談する時、「それで、どうするの？」と質問ばかりしてくる人より、「そっか、それは大変だったね」と気持ちを受け止めてくれる人の方が、安心して話せませんか？
マッチングアプリも同じです。人は自分の感情や価値観を理解・肯定してくれる相手に、仲間意識と信頼感を抱きます。
この「この人は味方だ」という感覚こそが、相手の心を自然に開かせる鍵なのです。

keyboard_arrow_right 3-2. 「共感」が、相手に安心感と承認欲求を与える

「共感」を示すことは、相手に「あなたの気持ち、ちゃんと受け取りましたよ」というメッセージを送ることです。
これにより、相手は「ここに居ていいんだ」「自分を認めてもらえた」という承認欲求が満たされ、深い安心感を得ます。
質問ばかりの「評価される」コミュニケーションから、共感による「受け入れられる」コミュニケーションに変わった時、相手は初めてリラックスして、自分のことを話し始めてくれるのです。

【実践】会話が無限に続く「共感の相槌」テクニック5選

「共感」が重要だとわかっても、どう表現すればいいか悩みますよね。
難しく考える必要はありません。いつものメッセージに「一言」加えるだけで、相手の反応は劇的に変わります。
ここでは、明日からすぐに使える、魔法のような「共感の相槌」を5つのレベルに分けて紹介します。
まずは簡単なものから試してみてください。

keyboard_arrow_right 4-1. テクニック①：オウム返し＋一言感想

【相手】「週末は〇〇っていう映画を観ました！」
【あなた】「〇〇を観たんですね！（←オウム返し）すごく話題ですよね！（←一言感想）」

相手の言葉を繰り返すことで、「ちゃんと読んでいますよ」というサインになります。そこに簡単な感想を添えるだけで、ただの事実確認ではない、感情の乗ったリアクションに変わります。

keyboard_arrow_right 4-2. テクニック②：相手の感情を代弁する

【相手】「仕事で大きなプロジェクトが終わって、ヘトヘトです…」
【あなた】「大きなプロジェクト、お疲れ様でした！それはヘトヘトになりますよね。達成感がすごそう！」

相手の状況から「きっとこんな気持ちだろうな」と感情を推測して言葉にしてあげる、少し高度なテクニックです。
「そうなんです！わかってくれますか！」と、相手は自分のことを深く理解してくれたと感じ、あなたに絶大な信頼を寄せるようになります。

keyboard_arrow_right 4-3. テクニック③：褒めて具体的にする

【相手】「趣味でパスタをよく作ります」
【あなた】「パスタをご自身で作るなんて、すごいですね！（←褒める）特に得意なパスタとかあるんですか？（←具体的にする）」

相手の言ったことを「すごい」「素敵」と肯定的に評価（褒める）し、さらに具体的な内容を尋ねることで、相手は気持ちよく自分の得意なことを話し始めます。

keyboard_arrow_right 4-4. テクニック④：自分の経験と結びつける

【相手】「最近、〇〇（バンド名）にハマってます」
【あなた】「〇〇、良いですよね！（←共感）私もこの前ライブに行って、すごく感動しました！（←自分の経験）」

もし共通点があれば、すかさず自分の経験と結びつけましょう。共通の体験は、二人の距離を一気に縮める最高のきっかけになります。

keyboard_arrow_right 4-5. テクニック⑤：労いと気遣いを見せる

【相手】「長文になっちゃってすみません！」
【あなた】「とんでもないです！詳しく教えてくれて、すごく嬉しいです。ありがとうございます！（←労い）」

相手が長文で返してくれた時などに、その労力をねぎらう言葉をかけましょう。「この人になら、もっと色々話しても大丈夫そうだ」という安心感を与えることができます。

「共感」と「質問」の黄金比！自然な会話のキャッチボールを生み出す例文

「共感」のテクニックを身につけたら、いよいよ「質問」を組み合わせるステップです。
質問自体は、相手を知るために不可欠なツール。大切なのは、その「使い方」と「順番」です。
「共感」で相手の心を開き、安心して話せる土台を作った上で質問を投げかける。
この「共感ファースト」の姿勢こそが、会話のキャッチボールを生み出す黄金比なのです。

keyboard_arrow_right 5-1. 例文①：「共感」→「自己開示」→「質問」の最強コンボ

【相手】「休日は家でゴロゴロしちゃうことが多いです（笑）」

【あなたの返信】
「わかります！休日はゴロゴロしたくなりますよね！（←共感）」
「私も最近、Netflixで〇〇を一気見しちゃいました。（←自己開示）」
「〇〇さんは、お家で過ごす時は何をされていることが多いですか？（←質問）」

共感で安心させ、自己開示で親近感を与え、最後に質問でパスを渡す。この3段コンボは、どんな話題でも使える最強の型です。

keyboard_arrow_right 5-2. 例文②：相手の答えを褒めてから深掘りする質問

【相手】「学生時代は、吹奏楽部でトランペットを吹いていました」

【あなたの返信】
「トランペット、すごいですね！カッコいい！（←褒める・共感）」
「何か演奏会とかにも出られてたんですか？（←深掘りの質問）」

相手が教えてくれた情報に対して、まずは「すごい！」「素敵！」とポジティブな反応（褒める）をしましょう。
気持ちよく話せる雰囲気を作った上で、さらに詳しく聞くための質問を投げかけると、相手は喜んで自分の話をしてくれます。

もう「面接官」は卒業。今日からあなたも会話の達人に

マッチングアプリで会話が続かないと悩んでいた日々は、もう終わりです。
これまであなたが良かれと思って続けていた「一生懸命な質問」が、皮肉にも相手との距離を広げていたのかもしれません。
しかし、もう大丈夫。あなたは、会話のキャッチボールを生み出すための最も重要な鍵を手に入れました。
それは、質問の前に、まず相手の気持ちに「共感」で寄り添うこと。
たった一言の「わかります！」が、相手の心を温め、あなたへの信頼を育みます。
あなたが面接官であることをやめた時、相手は初めてあなたに心を開きます。
今日から始まる新しいコミュニケーションを楽しんでください。